こんにちは。
いよいよ、京都大学の最終問題になりました。
最後は高分子。この時期にはまだ履修したての人もいるかもしれませんが、復習がてら見ていきましょう。
- 問1 アミノ酸配列の組合せ
- 問2 消費される水の質量
- 問3 グラミシジンSの分子量
- 問4 アミノ酸Xの分子量
- 問5 アミノ酸Xに含まれる窒素原子数
- 問6 アミノ酸Xの構造式
- 問7 アミノ酸の同定
- 【まとめ:総評】
問1 アミノ酸配列の組合せ
下線部にある通り、5つのアミノ酸A1~A5が連なったペンタペプチドを2つ用意します。この2つのペンタペプチドは同じアミノ酸配列です。よって、5つのアミノ酸の円順列を考えればいいです。
問2 消費される水の質量
1つのグラミシジンSにはフェニルアラニンが2つ含まれています。また、1つのグラミシジンSにはペプチド結合が10個含まれています。すなわち、生成したフェニルアラニンに対して5倍(mol)の水が消費されることになります。フェニルアラニン:水=1:5(物質量比)とすると求めることができます。
問3 グラミシジンSの分子量
1つのグラミシジンSから2つのフェニルアラニンが出てきました。グラミシジンSの分子量をMとしてグラミシジンS:フェニルアラニン=1:2(物質量比)とすると求めることができます。
問4 アミノ酸Xの分子量
グラミシジンSの分子量と図4の各アミノ酸の分子量から求められます。水の分子量を忘れないように。
問5 アミノ酸Xに含まれる窒素原子数
実験2の逆滴定から228mgのグラミシジンSから生成されたアンモニアの物質量が分かるので、それをもとに1分子から生成されるアンモニアの分子数を求めます。
アミノ酸X以外の4種のアミノ酸には分子中に窒素原子は1つずつしかないので、差し引くことでアミノ酸Xに含まれる窒素原子数を求められます。1つのグラミシジンSに各アミノ酸が2つ含まれていることに注意しましょう。
問6 アミノ酸Xの構造式
これまでの問いでアミノ酸Xの分子量、窒素原子数が分かったので、条件に合うような構造式を書いてみましょう。
問7 アミノ酸の同定
まずは実験から分かることをまとめましょう。
まず、ニンヒドリン反応から見ていきましょう。ニンヒドリン反応はアニリンのような第一級アミノ基(ーNH2)をもつ化合物で見られる呈色反応です。ほとんどのアミノ酸はこのアミノ基をもつため、ニンヒドリン反応を示します。
しかし5種類のアミノ酸のうち、プロリンのみ第一級アミノ基をもたないアミノ酸であるため、ニンヒドリン反応を示しません。更に、ペプチド結合に使われたアミノ基もニンヒドリン反応を示すことができないため、ペプチドP1のN末端であるアミノ酸A5がプロリンであると言えます。
次に、キサントプロテイン反応です。これはベンゼン環のニトロ化によって起きる、芳香族アミノ酸が示す呈色反応です。ペプチドP1とP2に見られることから、アミノ酸A4はフェニルアラニンであると言えます。
この時点で、A1~A3は残りのアミノ酸、バリン・ロイシン・アミノ酸Xであるため、ペプチドP1~P3の大枠が分かったと思います。ここで分子量を出してみましょう。大きさを比較するだけなので、水の分は割愛します。
・P1 プロリン+フェニルアラニン+A3 → 280+(A3の分子量)
・P2 プロリン+フェニルアラニン+A1 → 280+(A1の分子量)
・P3 バリン+ロイシン+アミノ酸X → 380
分子量が100以下のアミノ酸は今回の選択肢にないので単純にA3>A1となるようアミノ酸を決めます。バリン・ロイシン・アミノ酸Xを分子量の大きい順に並べると、
アミノ酸X > ロイシン > バリン
の順になります。
ここで思い出してほしいのが問5・6。この問題で分かったことは、アミノ酸Xには第一級アミノ基(ーNH2)を複数個持っているということです。すなわち、ペプチド結合しても、まだニンヒドリン反応を示すことができるということです。逆に言えば、A3にアミノ酸Xは当てはまらないことになります。
よって、A1はバリン、A2はアミノ酸X、A3はロイシンになります。
【まとめ:総評】
京都大学、いかがでしたか?
個人的には有機・高分子範囲は復習にはちょうどいい題材・難易度だと思います。ぜひ繰り返し解いて定着させましょう。
理論分野は普段見かけないような設定が出されることもあります。今回の内容も市販の問題集ではあまり取り扱われないものでした。
いろんな大学の問題を解くことで、経験値を高めましょう。次回はいよいよ、旧帝大シリーズの最後、九州大学です。お楽しみに。