【東京大学】2024 化学 第3問 part1

こんにちは。

今回は東京大学第3問を見ていきます。第3問は主に理論化学の中でも苦手とする人が多い「気体の法則・溶解」「電離平衡」についての問題です。前半の気体は割と時間のかかる計算問題です。じっくり取り組んでみましょう。

 

目次

 

 

問ア 空欄補充

 実在気体を理想気体とみなせる条件についてです。そもそも実在気体と理想気体の違いは何でしょうか。

 

実在気体 VS 理想気体

 分子には体積があり、また、分子どうしの間には分子間力がはたらく。高圧・低温になると分子どうしが近づき、それらの大きさを無視することができない。

 以上より、実在気体を低圧・高温にすると理想気体の振る舞いに近づいてくる。

 

 

問イ CO2の物質量〈実験1〉

 今回求めたいCO2の物質量をn〔mol〕とします。問題文にあるように、「1.00×105Pa、280Kのとき、3.00molの理想気体の体積が69.8L」であることを利用して気体の状態方程式PVnRTに当てはめていきましょう。VnTは先ほど仮定した文中に与えられているものを使います。Rはこのままで大丈夫です。

 さて、Pを求めていきます。水に溶けているCO2の物質量が 6.00-n〔mol〕であることを利用します。前文に示されていた通り、CO2は1.00×105Pa、280Kのとき1Lの水に0.0600mol溶けます。今回は水100Lに6.00-n〔mol〕溶けているため、気体の圧力は

  0.0600×100:1.00×105 = (6.00-n):P

から求めることができます。

 

 

問ウ CO2の物質量〈実験2〉

 問イ同様、CO2の物質量をn〔mol〕、アルゴンArの物質量をx〔mol〕とします。CO2の分圧はn、xを使って表すことができます。CO2の溶解度から

  0.0600×100:1.00×105  =(6.00-n): n+x  × 1.00×105

 xには(A)1.00mol、(B)3.00molを代入することでnを求められます。nについての二次方程式になりますが、0<n<6を満たすものを選びましょう。

 

 

問エ 1.25×105Paになる温度〈実験3〉

 1.25×105PaT〔K〕におけるヘンリー定数をkH(T)とします。このとき、水100Lに溶けるCO2の物質量は1.25×105 × 100 × kH(T)〔mol〕と表すことができます。よって、状態方程式は以下の通りです。

  1.25×105 × 69.8 = (6.00-1.25×105 × 100 × kH(T))× RT

ここで、「1.00×105Pa、280Kのとき、3.00molの理想気体の体積が69.8L」より

  1.00×105 × 69.8 = 3.00 × R × 280

これを使って、kH(T)を  1 T  で表し、図3-2(下)のグラフとの交点を求めていきます。グラフの軸にそれぞれ「10の〇乗」と書いてあります。注意してください。

 

 

【まとめ】

 気体の問題は条件を整理し、何を求めるのか明らかにすると計算しやすくなります。また、演習をする際も条件や途中式、何の公式を使ったのかなどメモを残しておくことで、どこまで合っているのか、どこで間違えたのか復習しやすくなります。特に気体・溶液の問題では有効です。