こんにちは。
今回は東京大学第3問を見ていきます。第3問は主に理論化学の中でも苦手とする人が多い「気体の法則・溶解」「電離平衡」についての問題です。前半の気体は割と時間のかかる計算問題です。じっくり取り組んでみましょう。
目次
問ア 空欄補充
実在気体を理想気体とみなせる条件についてです。そもそも実在気体と理想気体の違いは何でしょうか。
問イ CO2の物質量〈実験1〉
今回求めたいCO2の物質量をn〔mol〕とします。問題文にあるように、「1.00×105Pa、280Kのとき、3.00molの理想気体の体積が69.8L」であることを利用して気体の状態方程式PV=nRTに当てはめていきましょう。V、n、Tは先ほど仮定した文中に与えられているものを使います。Rはこのままで大丈夫です。
さて、Pを求めていきます。水に溶けているCO2の物質量が 6.00-n〔mol〕であることを利用します。前文に示されていた通り、CO2は1.00×105Pa、280Kのとき1Lの水に0.0600mol溶けます。今回は水100Lに6.00-n〔mol〕溶けているため、気体の圧力は
0.0600×100:1.00×105 = (6.00-n):P
から求めることができます。
問ウ CO2の物質量〈実験2〉
問イ同様、CO2の物質量をn〔mol〕、アルゴンArの物質量をx〔mol〕とします。CO2の分圧はn、xを使って表すことができます。CO2の溶解度から
0.0600×100:1.00×105 =(6.00-n): n n+x × 1.00×105
xには(A)1.00mol、(B)3.00molを代入することでnを求められます。nについての二次方程式になりますが、0<n<6を満たすものを選びましょう。
問エ 1.25×105Paになる温度〈実験3〉
1.25×105Pa、T〔K〕におけるヘンリー定数をkH(T)とします。このとき、水100Lに溶けるCO2の物質量は1.25×105 × 100 × kH(T)〔mol〕と表すことができます。よって、状態方程式は以下の通りです。
1.25×105 × 69.8 = (6.00-1.25×105 × 100 × kH(T))× RT
ここで、「1.00×105Pa、280Kのとき、3.00molの理想気体の体積が69.8L」より
1.00×105 × 69.8 = 3.00 × R × 280
これを使って、kH(T)を 1 T で表し、図3-2(下)のグラフとの交点を求めていきます。グラフの軸にそれぞれ「10の〇乗」と書いてあります。注意してください。
【まとめ】
気体の問題は条件を整理し、何を求めるのか明らかにすると計算しやすくなります。また、演習をする際も条件や途中式、何の公式を使ったのかなどメモを残しておくことで、どこまで合っているのか、どこで間違えたのか復習しやすくなります。特に気体・溶液の問題では有効です。