こんにちは。
今回は名古屋大学第3問になります。第3問は大きく2つに分かれているので、記事を分けてお送りします。
目次
問1 化合物Aの構造式
アセチレンC2H2に臭素Br2を過剰量付加させるので、炭素間は飽和結合になり、それぞれ臭素原子が2つずつ結合した1,1,2,2-テトラブロモエタンになります。
問2 同位体の割合
アセチレンC2H2の分子量は26であり、同位体の組合せによって以下の分子量をもつ分子ができます。
(ア) 79Brが4つ ⇒ 分子量:342
(イ) 79Brが3つ、81Brが1つ ⇒ 分子量:344
(ウ) 79Brが2つ、81Brが2つ ⇒ 分子量:346
(エ) 79Brが1つ、81Brが3つ ⇒ 分子量:348
(オ) 81Brが4つ ⇒ 分子量:350
① (ア)の分子量は342です。
② Brの同位体それぞれの存在確率は50%ずつであるため、79Brを4つ集めると( 1 2 )4 = 1 16 ⇒ 6.25%になります。
③ 79Brを2つ、81Brを2つ集めるとき注意点が一つあります。それは臭素Brを選び出す組合せを考えるからです。数Aのように考えるといいと思います。
問3 化合物Bの分子式
元素分析です。分子量が100以下であることで分子式まで決まるかと思います。
問4 化合物C、Dの構造式
問3より、化合物Bの分子式はC5H8と決まり、炭素-炭素三重結合をもちます。この時点でBは2種類です。
水を付加させると図1のようにカルボニル化合物ができます。化合物C・Dはいずれも銀鏡反応を示さないことからケトンのみができる方がBとなります。C・Dを還元すると、それぞれ不斉炭素原子をもつ化合物Eともたない化合物Fができるので、それぞれ構造式が定まります。
問5 ヨードホルム反応を示す化合物
ヨードホルム反応を示す構造をもつものを選びます。
問6 化合物Gの構造式
問題文より、Gの分子式がC8H12であることが分かっています。ここで、「不飽和度」について考えると、構造式を見つけやすくなります。
窒素、ハロゲンがある場合、少し変わってきますが基本的にC、H、Oの3元素が含まれることがほとんどなので、ぜひ覚えておくと手掛かりとして使えます。
今回の場合、C8H12の不飽和度は「3」であり、水分子が1つしか付加しないことから、三重結合の他に環構造をもつことが分かります。よって、シクロオクチンが答えになります。
【まとめ】
今回はアルキンへの水の付加反応についてでした。不飽和結合に水が付加するとヒドロキシ基が結合しますが、三重結合の場合、ビニルアルコールに似た構造ができ不安定であるため、図1のようなカルボニル化合物に異性化します。難関大ではこの異性化を踏まえて構造決定させるものもあるので、ぜひ覚えておきましょう。