【京都大学】2024 化学 第3問(b)

 こんにちは。

 前回に引き続き、京都大学の第3問(b)を見ていきます。

 この問いでは有機化合物の立体構造について聞かれています。試験本番では(もちろん模試等においても)紙面という二次元界で立体構造を考察したり、記したりしなければいけません。何となくイメージしづらいこともありますし、全く分からないと感じる人もいるのではないでしょうか。

 今回は分子模型を示しながら解説していこうかと思います。少しでも頭の中で考えるときの参考になればと思います。

 

 

問3 臭素付加によって生成する化合物

 これは実際に臭素を付加して、不斉炭素原子が2つできるものを選べばいいですね。「すべて選び、」とあるので過不足なく選びましょう。

 

問4 水素付加によって生成する化合物

 問3同様です。ちなみに、全ての選択肢において二重結合を形成している炭素原子以外の炭素原子はどれも同じ原子・原子団が2つ以上結合しているでの不斉炭素原子にはなりえません。二重結合の炭素原子だけに注目してみましょう。

 

問5 化合物(さ),(す)の構造式

 まず、例である図2の化合物(き)と(く)について確認します。

 

 左図の(き)に対して上と下に臭素(黄)が付加した様子(右図:く)です。この仕組みが分かれば、(さ)と(す)に当てはまる原子・原子団も分かりますね。 

 

問6 化合物(そ)の構造式

 先ほどの(く)の右側の炭素(黒)を回転させると、下のようになります。

 

 このことから、(せ)を回転させると(そ)は次のようになります。

 

 化合物(せ)が左図、(そ)が右図になります。ちなみに臭素は黄、メチル基が青、エチル基が緑、水素が水色になります。頭の中でこの回転ができれば、次の化合物(た)の構造式も表せそうですね。

 

問7 化合物(た),(つ)の構造式

 さて、先ほどの(そ)から臭素(黄)を取り除くと(た)の完成です。

 

 同様に、化合物(つ)についても考えます。まず、(ち)とその回転体です。

 図2の化合物(け)で示されているように、水素付加については水素原子を同じところに移動させるようにします。今回は(ち)の左の炭素を回転させました。ここから水素分子を引き抜くと、次のような(つ)が得られます。

 なお、黄色はメチル基、緑がプロピル基、青がエチル基になります。

 

【まとめ】

 いかがでしょうか。最近はこのような立体化学について考えさせる問題が増えているように感じます。今回は有機化合物についてでしたが、無機化合物、特に錯イオンの立体化学について問われることもあります。図に起こして考えても難しい問題がありますが、頭の中でイメージできるように繰り返し練習してみてください。