【大阪大学】2024 化学 第2問

こんにちは。

今回は大阪大学第2問の解説していきます。分野としては理論化学になります。

 

目次

 

問1 水の凝縮熱

 第1問の問9同様、ヘスの法則の応用で解いていきます。ちなみに、凝縮発熱反応です。

 

 

問2 空欄補充(凝縮熱)

 凝縮熱より、蒸発熱で考える方が普段多いと思います。どちらも気体のもつエネルギーと液体のエネルギー差によって放出される(吸収される)熱なので、今回の問題も蒸発熱で考えるとよいでしょう。

 水H2OはメタンCH4硫化水素H2Sと違い、水素結合が分子間に存在します。そのため分子間力が大きくなり、蒸発熱や凝縮熱が大きくなります。

 また、この水素結合は生物の体内では重要な役割を果たします。選択肢にあるセルロースはヒドロキシ基によって分子鎖どうしが引き合うことができ、DNAはアミノ基やカルボニル基によって2本のDNA鎖が引き合うことができます。また、タンパク質アミノ酸に含まれるアミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基などによって水素結合が形成され、アミノ酸の二次構造を形作っています。

 

■タンパク質の構造
〈一次構造〉アミノ酸の配列。
〈二次構造〉水素結合による立体構造。らせん状のα-ヘリックス構造と平面構造のβ-シート構造がある。
〈三次構造〉ジスルフィド結合などによってポリペプチドが折りたたまれた立体構造。
〈四次構造〉三次構造を形成しているサブユニットが結合し、複合体を形成している構造。例えば、ヘモグロビンの場合、4つのサブユニットからなる。

 

 

問3 燃料電池の電極での反応

 水の電気分解と逆のことが起きており、全体の反応を見ると水素の燃焼(水の生成)だと分かります。

 

 

問4 外部回路を流れた電流と仕事率

 ファラデーの電気分解の法則より、水の生成量から流れた電流の大きさを求めましょう。仕事率は物理選択者なら聞き覚えがあるかと思います。単位の〔W〕を見ると電力を思い出す人もいるかもしれません。

 「仕事率」は言葉通り、仕事の割合を指します。何の割合かと言えば「時間」です。基本的には1秒あたりの仕事〔J〕を仕事率〔J/s〕といいます。電磁気の世界だと、電圧〔V〕と電流〔A〕の積で表されます。今回は電流の大きさを求めることで仕事率(電力)を求めることができます。

 

 

問5 燃料電池発電効率

 水の生成熱が286kJ/molとあるので、1molの水が生成するときに燃料電池で発生するジュール熱を求めます。問4の仕事率は1秒あたりに発生するジュール熱です。25分間電流を流すと1.44g=0.08molの水が生成するため、1mol生成するときに発生するジュール熱を求めることができます。

 

 

問6 正誤問題

(1) 問5で分かった通り、燃料電離の発電効率が50%なので、反応によって生じるエネルギーの半分は電気エネルギーに、残り半分は熱エネルギーとなります。

(2) 普段の酸素の反応式に水酸化物イオンを両辺に加えると生成物の水が消去できます。

(4) 触媒を活性化エネルギーを低くするはたらきがあります。

 

 

問7  平衡の移動

 平衡状態の系の温度を上げると吸熱反応の向きに平衡が移動します。すなわち、水素が増加する向きです。

 

 

【まとめ】

 今回は理論分野でした。この分野は無機・有機に比べて覚えることが少なく、計算さえできれば点がもらえる問題もいくつかあります。基礎~標準レベルの問題集を繰り返すだけでも十分対策になると思います。問題を見ただけで解法が分かる程度まで仕上げれば、このレベルの大学は突破できるかと思います。