【名古屋大学】2024 化学 第2問

こんにちは。

今回は名古屋大学第2問になります。無機を軸とした理論分野になります。計算多めですが、じっくりと見ていきましょう。

 

目次

 

問1 正誤問題

(a) 四酸化三鉄Fe3O4は「黒さび」と呼ばれる通り、黒色です。岩手県の工芸品である南部鉄器などは黒さびによる色をしています。一方、赤褐色となるのは酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3は「赤さび」と呼ばれています。釘が錆びたときなどに見られる色です。

(b) Fe3O4は酸化数+2と+3の鉄Feが1:2で結晶内に含まれています。

(c) Fe3O4は磁性をもち、Fe2O3は磁性をもちません。

(d) 鉄Feの酸化数を見ると、Fe3O4は+2と+3が共存し、Fe2O3は全て+3であるため、Fe3O4の方が還元されていると言えます。

 ちなみに、鉄Feの製法を覚えていれば違うことが分かりますね。鉄FeはFe2O3からスタートし、Fe2O3 Fe3O4FeOFe の順に還元していきます。

 Fe2O3は鉄鉱石に含まれており、コークスCや石灰石を使って還元していきます。特にコークスCから一酸化炭素COが生成し、還元剤としてはたらきます。ここで生成された鉄Feを「銑鉄」といい、硬くてもろく、炭素含有率は4%程度です。銑鉄を融解し、酸素を吹き込んで不純物や余分な炭素を取り除くと「」と呼ばれる鉄になります。鋼は硬くて弾性があり、炭素含有率は約0.02%です。

 

 

問2 適切な触媒

 無機工業では①硫酸、②アンモニア、③硝酸の製造で使われる触媒が紹介されています。それぞれ①酸化バナジウム(Ⅴ)V2O5、②四酸化三鉄Fe3O4、③白金Ptです。

 しかし、有機で使われる触媒はあまり授業では扱わないので、答えにくかったかと思います。

 (c) エタノールの製造では、エチレンC2H4へ水H2Oを付加します。炭素-炭素二重結合への付加反応では、水素イオンのように電子が不足している化学種に炭素が結合しにいきます。水はほとんど電離しないため、酸(H+)を触媒とすることで水を付加させることが可能になります(詳しくは大学で習います)。

 新学習指導要領での教科書では、触媒の授業で様々な工業化学で使われる触媒が登場しますので、ぜひチェックしてください。

 

 

問3 空気に含まれる窒素N2

① 反応1で生成する一酸化炭素COの物質量から、反応2で必要な酸素O2の物質量が分かります。空気の組成から、窒素N2の物質量xが分かります。また、反応1~3で生成した水素H2の物質量yも求められます。

 

② x:y=1:3となるnを求め、xに代入します。

 

 

 

問4 金属と濃硝酸の反応

 イオン化列で出てくる金属のうち、金Au・白金Pt以外はほとんど濃硝酸と反応し、気体を発生しながら溶けます。このとき、銅Cu、水銀Hg、銀Ag二酸化窒素NO2、それ以外は水素H2を発生します。

 しかし、不動態になる金属がいくつかあるので覚えておきましょう。よく出てくるのは鉄Fe、ニッケルNi、アルミニウムAl、クロムCr、コバルトCoです。

 

 

問5 尿素の収率

① 尿素の構造式は分からなくても、問題文にある通り、「シアン酸アンモニウムNH4OCNの合成を目的とする実験において」とあるので、尿素分子式CH4N2Oであることが分かります。あとは、シアン酸アンモニウム以外の構造を見つけ出せばOKです。

 

② ①の反応を化学反応式で表し、1000kgの二酸化炭素CO2から生成する尿素の質量の理論値を出します。500kgがそれの何%か割り出しましょう。

 

 

問6 消石灰の効果

 消石灰Ca(OH)2と硫酸アンモニウム(NH4)2SO4を混ぜ合わせるとアンモニアNH3が遊離します。