こんにちは。
今回から大阪大学の入試問題を解説していきます。学生の頃、部活で何度か訪れた大学ですが、あるキャンパスが最寄駅から割と歩く位置にあるため大変だった経験があります。大学を選ぶときには、立地も考えた方がいいなと思った瞬間です。
それでは早速見ていきましょう。
目次
- 問1 ハロゲン化ナトリウムの融点
- 問2 イオン結晶構造
- 問3 語句問題
- 問4 空欄補充
- 問5 ダイヤモンドと同じ構造をもつイオン結晶
- 問6 ダイヤモンドの炭素原子間距離
- 問7・8 黒鉛の密度
- 問9 ダイヤモンドの炭素-炭素平均結合エネルギー
- 【まとめ】
問1 ハロゲン化ナトリウムの融点
イオン結晶の融点は①イオン半径、②イオンの価数によって決まります。今回はハロゲン化ナトリウムなので、①ハロゲン化物イオンの半径について考えましょう。
静電気力は電荷間の距離が離れるほど小さくなります。よって、イオン半径が大きいほど融点は低くなります。したがって、フッ化ナトリウムNaFが最も融点が高く、ヨウ化ナトリウムNaIが最も低くなります。
問2 イオン結晶構造
選択肢(a)~(d)は有名なイオン結晶構造です。ぜひ覚えておきましょう。
ちなみに、結晶格子内の各イオン数の比を調べると、(c)のみ1:2になっています。よって、蛍石CaF2型だと分かります。
問3 語句問題
同素体です。
問4 空欄補充
ダイヤモンドの結晶構造についてです。高校化学で登場する共有結合結晶に分類されるものは、主に「ダイヤモンド、黒鉛、ケイ素、二酸化ケイ素」になります。いずれも14族元素であり、無機でも登場しますね。
固体の二酸化炭素、ドライアイスはCO2分子が面心立方格子のように配置されている分子結晶になります。化学基礎で登場する分子結晶は「ヨウ素、ドライアイス(CO2)、氷、ナフタレン」があり、氷以外に昇華性があることで有名です。実は、ナフタレンのように有機化合物の固体の多くは分子結晶です。
問5 ダイヤモンドと同じ構造をもつイオン結晶
閃亜鉛鉱ZnS型結晶のイオンを全て炭素原子Cに置き換えるとダイヤモンド構造になります。次の問いは図1の(b)を見ながら答えていきましょう。
問6 ダイヤモンドの炭素原子間距離
面心立方格子を8等分した立方格子を考えます。この小立方体の中心に炭素原子を置いたとき、中心間距離は体心立方格子のように考えることができます。
問7・8 黒鉛の密度
黒鉛中の炭素原子間距離は、3つの炭素による正三角形の中心にもう1つ炭素原子があると考えて求めましょう。数Ⅰで習う正弦定理を使えば、瞬殺ですね。
格子内の原子数を数えるのは少し大変ですが、それさえできれば密度を求めるだけ。有効数字3桁なので丁寧に求めていきましょう。
問9 ダイヤモンドの炭素-炭素平均結合エネルギー
ダイヤモンド中の炭素原子は、4つの炭素原子と共有結合しています。つまり、炭素原子1つあたり共有結合は2本分もつことになります。あとは、燃焼反応の熱化学方程式からヘスの法則でこの結合エネルギーを求めていきます。
【まとめ】
今回は主に結晶構造、炭素についてでした。<理論+無機>の典型ですので、ぜひ練習してください。結晶構造を理解することは、それと同族の元素や似た性質をもつ物質の構造を理解する手掛かりになります。紙面上で3次元を描くとぐちゃぐちゃになりがちなので、資料集やネットなどで立体構造を確認し、頭でイメージできるようになるといいでしょう。