こんにちは。
今回は東北大学
第3問構造決定を取り上げます。
第1・2問とは違い、
文章は1つですので、
この記事で全て解説していこうと思います。
割と長めですが、
最後まで見ていただければと思います。
目次
- 【問題文からの情報】
- 問1 実験3の異性体
- 問2 Hの構造式
- 問3 実験3下線部bの反応
- 問4 Gの構造式
- 問5 CとJの分子式
- 問6 Cの構造式
- 問7・8 化合物Dの構造式、化合物L
- 問9 高分子Mの構造式
- 問10 エステル結合の個数
- 問11 化合物Nの構造式
- 問12 化合物Aの構造式
- 【まとめ:総評】
【問題文からの情報】
問題文にある情報をまとめていきます。
問1 実験3の異性体
トルエンのニトロ化です。ここで生成する異性体はメチル基に対してニトロ基がオルト位、メタ位、パラ位のいずれかに置換します。しかし、「主に2種類」なので、「配向性」を考慮する必要があります。
よって、o-ニトロトルエン、p-ニトロトルエンが主に生成します。
問2 Hの構造式
実験6より、ナトリウムフェノキシドに高温・高圧下で二酸化炭素を反応させ、希硫酸で処理をするとサリチル酸が生成します。
問3 実験3下線部bの反応
ニトロ基の還元反応を書きます。ニトロ基からアミノ基への還元反応、スズSnから塩化スズ(Ⅳ)SnCl4への酸化反応の半反応式は次の通りです。
R-NO2 + 6H+ + 6e- → R-NH2 + 2H2O + 6e-
Sn → Sn4+ + 4e-
ここから電子を消去し、塩化物イオンCl-を補っていきます。
さらに化合物Bの構造式と特定していきます。
実験4より、Bをジアゾ化し、加熱するとFが得られます。つまり、Bのアミノ基がヒドロキシ基に変化するとFになるということですね。
次に実験6より、Fを酸化するとH:サリチル酸が生成します。
よって、Bはo-ニトロトルエンを還元したアミンだということが分かります。
問4 Gの構造式
Eをジアゾ化し、ナトリウムフェノキシドとカップリング反応を起こします。
問5 CとJの分子式
実験7より、元素分析をすることでCの組成式を求めると、C10H20Oとなります。この時点で分子量は156であるため、分子式もC10H20Oのままです。
Cを脱水するとJになるため、Jの分子式はC10H18になります。
問6 Cの構造式
実験8より、Cを酸化することで得られたIが銀鏡反応を示すことから、Cは第1級アルコールです。
また実験9より、脱水することで得られたJは不斉炭素原子をもたず、実験10よりCに水素を付加させたKにも不斉炭素原子がないことから、J・Kは対称性のある化合物です。
更に、Jに過マンガン酸カリウムで酸化すると得られるDは2価カルボン酸であり、脱水すると酸無水物Lが生成します。この化合物Lは6原子からなる環をもつため、2つのカルボキシ基の間には炭素原子が3つあるように組み立てていきます。
以上の条件を満たすようなD・J・Kが分かれば、自ずとCの構造式も求められます。
問7・8 化合物Dの構造式、化合物L
問6より導くことができます。
問9 高分子Mの構造式
エチレングリコールは2価カルボン酸であるテレフタル酸と縮合重合することでポリエチレンテレフタレートを生成します。テレフタル酸を化合物Dに置き換えて高分子を作ります。
問10 エステル結合の個数
問9より、高分子Mの平均分子量を求め、重合度を出します。繰り返し単位中にエステル結合が2つあるため、エステル結合の数は重合度の2倍になります。
問11 化合物Nの構造式
炭素-炭素二重結合が過マンガン酸カリウムの酸化によってカルボキシ基に変化することから化合物Nを導くことができます。
問12 化合物Aの構造式
問7まで答えられれば、A・B・Cを組み合わせます。
【まとめ:総評】
今回で東北大学の入試解説は終了です。全体を通して、第1問・第2問は比較的基本レベルの問題だったかと思います。ところどころ最後まで計算しきれるかは経験の差が出るでしょう。また、第3問は少し時間をかかりますが、ぜひとも解ききってほしいものでした。
東北大学は有機を筆頭に良問が多いため問題集などによく取り上げられます。旧帝大・医学科を目指す人はもちろん、化学を得点源にしたい人は何年分か取り組んでみると力がつくと思います。