こんにちは。
前回に引き続き、
東北大学第2問を見ていきます。
目次
問6 空欄補充
(ア)アルミニウムの合金として最も有名なジュラルミンです。
(イ・ウ)鉛蓄電池は負極に鉛Pb板、正極に酸化鉛(Ⅳ)PbO2板を使います。
問7 両性金属についての正誤問題
(a~c)両性金属は酸・塩基と反応して水素H2を発生します。しかし、鉛Pbは塩酸や希硫と反応すると不要な塩化鉛PbCl2や硫酸鉛PbSO4を生成します。また、これらの金属は酸化物も同様、酸や塩基と反応します。
(d・e)両性金属の水酸化物も酸や塩基と反応しますが、アンモニア水に関しては金属によって異なります。亜鉛イオンZn2+はアンモニア分子と錯イオンを形成します。一方、アルミニウムイオンAl3+はアンモニア分子と錯イオンを形成しません。
問8 銀と熱濃硫酸の反応
銀Agと熱濃硫酸H2SO4が反応すると二酸化硫黄SO2が発生します。一緒に硫酸銀Ag2SO4と水が生成する、と知っていれば後は係数を揃えるだけです。
ただ、全部覚えなくても、「AgとH2SO4が反応するとSO2が発生」という知識で化学反応式をつくることができます。
AgがAg+にイオン化、H2SO4がSO2に変化する半反応式を書きます。
Ag → Ag+ + e-
H2SO4 + 2H+ + 2e- → SO2 + 2H2O
電子を消去すればイオン反応式の完成です。水素イオンH+、銀イオンAg+は硫酸イオンSO42-を補うことで化学反応式にすることができます。
また、銀Agだけでなく銅Cu、水銀Hgでも同様にできます。更に、これらの金属は硝酸HNO3とも反応します。硝酸の場合、濃硝酸か希硝酸で発生する気体が違います。それぞれ半反応式を書くことで同じように化学反応式を書くことができます。
問9 過マンガン酸カリウムとシュウ酸の反応
問8同様、過マンガン酸カリウムKMnO4とシュウ酸(COOH)2がマンガンイオンMn2+と二酸化炭素に変化する半反応式を書き、組み合わせることで化学反応式を完成させます。硫酸酸性のKMnO4を使用しているためカリウムイオンK+の他に硫酸イオンを補う必要があります。
問10 鉄イオンについての正誤問題
(a・b)鉄イオンは2価でも3価でも黒色沈殿を生じます。特に鉄(Ⅲ)イオンFe3+は硫化水素によって還元され、鉄(Ⅱ)イオンFe2+に変化します。よって、同じ硫化鉄(Ⅱ)FeSが沈殿します。
(c・d)水酸化鉄は価数によって色に違いがあります。2価は緑白色、3価は赤褐色になります。
実際には水酸化鉄(Ⅲ)は組成がFe(OH)3ではないため、新学習指導要領ではこのような表記をしないようになりました。一部問題集ではこの表記が残っているものもありますが、おそらく入試では変更されていると思います。
【まとめ】
今回は、主に無機化学(典型・遷移金属元素)が登場しました。実は、新学習指導要領からこれまで典型元素として分類されていた12族元素(Zn、Cd、Hg、Cn)が遷移元素になっています。性質上、どちらに分類されてもいいような位置にいるため曖昧ですが、変更されているので覚えておきましょう。
遷移金属元素でよく出てくるのが、イオンや化合物の色です。化学特有の表現もあるため、正確に覚えておきましょう。