【大学入試:化学】2024 北海道大学 第2問 part3

こんにちは。

今回は第2問の最終パートです。

 

後半は、前にも触れた無機化学で出てくる反応について種類別にまとめていきたいと思います。

 

目次

 

 

 

問5 排ガス浄化システム

① 化学反応式を完成させます。水H2Oの係数を文字で置けば、二酸化窒素、アンモニアの係数も文字で表すことできます。あとは、窒素N2の係数から求めていきます。

 

② まず、尿素の化学式が分からないとこの問題は解けません。尿素CO(NH2)2です。尿素1molを加水分解することで、2molのアンモニアと1molの二酸化炭素が生成します。

  CO(NH2)2 + H2O → CO2 + 2NH3

 

 一酸化窒素、二酸化窒素を窒素分子に変えるために必要なアンモニアの物質量は①の反応式から分かります。その物質量を含むような尿素水溶液の体積を求めていきます。

 

 質量パーセント濃度からモル濃度への変換は化学基礎でも典型問題です。どれだけ尿素が含まれているかは質量パーセント濃度を使う他ありません。そのためには、溶液の質量が必要です。とりあえず、1Lの水溶液を仮定します。1Lの尿素溶液は密度より1100 gであるため、質量パーセント濃度から尿素は440 g溶けていることが分かります。ここから尿素の物質量を求めます。

 前提として、水溶液の体積は1Lであるため、「尿素の物質量=尿素水溶液のモル濃度」になります。

 

 

無機化学でよく出てくる反応~其の一~】

 ここからは無機化学でよく登場する反応について見ていきます。これらを覚えておくことで、様々な化学反応式をパターン化してまとめられます。

 今回は化学基礎で登場する①中和・遊離、②酸化還元についてまとめます。

 

① 中和反応・弱酸(弱塩基)の遊離反応

 中和反応は酸・塩基から塩と水が生成する反応です。中和滴定や逆滴定、電離平衡などで取り上げられます。水ができることを知っていれば、残りを塩にするだけです。「陽イオン+陰イオン」の順に化学式にしましょう。

 例外として、アンモニアの中和では水が発生しません。また、酢酸イオンは陽イオンよりも先に書きます。

  HCl + NaOH → NaCl + H2O

  CH3COOH + KOH → CH3COOK + H2O

 

 弱酸の塩と強酸、または弱塩基と強塩基の組合せで起こる反応は遊離反応です。これによって弱酸、あるいは弱塩基が遊離します。無機ではよく出てきます。

  CH3COONa + HCl → NaCl + CH3COOH

  2NH4Cl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2NH3 + 2H2O

 

 中和関係は有機化学の分離操作でも登場します。中和、遊離によって塩を水層へ、有機分子を有機層へと分けるのです。

  フェノール + NaOH → ナトリウムフェノキシド + H2O

  ナトリウムフェノキシド + NaHCO3 → フェノール + CO2 + H2O

 

 ここで重要なのが、酸の強弱です。一般に、以下のような関係があります。

有機酸の強弱

 強酸 ≧ スルホン酸 > カルボン酸 > 炭酸・二酸化炭素 ≫ フェノール類

 

 これで特定の物質だけ遊離させることも可能です。ぜひ覚えておきましょう。

 

 

② 酸化還元反応

 化学基礎では電子の移動によって酸化・還元を定義しました。そこでは、半反応式を記述することで酸化剤・還元剤のはたらきを勉強したと思います。「相手を」酸化するから酸化剤、「相手を」還元するから還元剤だということから繋げていくとごちゃごちゃにならずに理解できるかと思います。

 

酸化剤・還元剤のはたらき

 酸化剤:相手を酸化する=自らは還元される=電子を受け取る

 還元剤:相手を還元する=自らは酸化される=電子を失う

 

 基本的には、まず半反応式の作り方を覚え、自分の手で半反応式を書きだせるようにします。そして、電子を消去することで反応式を完成させていきます。

 

 酸化還元反応であるかどうかを見極めるポイントがあります。それは、反応式の中に「単体を含むか」です。単体を構成する原子の酸化数は0です。化合物である以上、酸化数が0であることはないので、必ず酸化数が変化します。

 

 

 

【まとめ】

 今回は第2問の解説、無機化学で頻出の反応について見てきました。どうしても暗記しがちな無機・有機ですが、パターン化させると理解もしやすく、応用にも活かせます。闇雲に暗記せず、効率よく覚えていきましょう。