こんにちは。
今回も引き続き
北海道大学 第1問の解説をしていきます。
今回は問題文Ⅱになります。
内容は化学平衡です。
苦手とする受験生が多い分野ですね。
目次
問1 空欄補充
化学では法則名を問われることが少なくありません。覚えておきましょう。
問2 結合エネルギー
「結合エネルギー」とは、共有結合を切断するために必要なエネルギーです。今回は定番のヘスの法則の応用を使って解いていきます。
今回はアンモニア分子中のN-H結合の結合エネルギーを文字で置いて②で解いていきます。注意点は、アンモニア1分子中にはN-H結合が3つあることです。また、与えられている反応熱は1molの窒素分子を反応させた時であることに注意してください。
【補足】エンタルピーについて
令和7年度入試からは学習指導要領が新しくなり、熱分野において大きな変更もあります。今回は反応熱を求める問題でしたが、今後は反応エンタルピーを求められるようになります。
反応エンタルピーとは物質がもつエネルギーがどれだけ変化するかを表すのに便利な物理量です。単位は主にkJ[キロジュール]を用いるため、これまでの反応熱と同じように考えることができます。
反応熱との違いは、観測する領域です。反応熱は実験容器の外側から観測した熱エネルギーです。容器の外側が熱くなる、つまり熱が発生しているから「発熱反応」になります。吸熱反応はその逆ですね。
一方、反応エンタルピーは反応している物質自身が観測点になります。発熱反応の場合、物質がもつエネルギーが外に放出され、観測者は熱を感じます。物質からすると、もっていたエネルギーが減少したわけです。
このことから、反応エンタルピーには次のような定義があります。
これまでとは逆になっていることが分かりますね。反応エンタルピーについて詳しいことは、また後日記事にしたいと思います。
問3 アンモニアの生成量と時間の関係
平衡反応では、圧力・温度・触媒によってグラフの形状が変化します。今回は温度と触媒について考えていきます。
まず押さえておきたいのは、一般的に高温・触媒ありの時は平衡までにかかる時間が早くなります。いずれも反応速度を上げる要因だからです。
次に、アンモニアの生成が発熱反応であることに注目します。ルシャトリエの原理より、高温にすると平衡はアンモニアが減少する方向へ移動します。これは最終的なアンモニアの生成量が少なくなることを指します。
注意点は、触媒がより反応速度を上げるものであっても、最終的な生成量は温度が一定であれば変わらないことです。これは平衡定数が温度に依存しないことから分かります。
【まとめ】
今回は化学平衡、特に熱分野について解説しました。熱化学方程式の分野はどのような入試問題が出てくるかわからないので、対応した問題集で練習するしかありません。これからの記事でも少しずつ触れようと思うので、ぜひチェックして下さい。