【大学入試:化学】2024 北海道大学 第1問 part2

こんにちは。

前回に引き続き、

北海道大学 第1問を解説します。

 

今回は第1問 Ⅰ 問2です。

内容は前回同様、電気分解

中でも陽イオン交換膜法

になります。

 

目次

 

 

 

(1)指示薬の色の変化

 水酸化ナトリウム水溶液に塩酸を加えていきます。この実験では塩基性→酸性に変化するので、

 ・フェノールフタレイン

 ・メチルオレンジ

 ・BTB溶液

など様々な指示薬を使うことができます。色の変化は次の通りです。

 ・フェノールフタレイン:赤色→無色

 ・メチルオレンジ:黄色→赤色

 ・BTB溶液:青色→黄色

選択肢より、BTB溶液になります。

 

 

(2)中和滴定

 0.100 mol/Lの塩酸10 mLを滴定するために必要な水酸化ナトリウム

  0.100 mol/L ×  10 1000  L = 1.0×10-3 mol

これが、取り出す1mLの水溶液の中に含まれる水酸化ナトリウムになります。塩化ナトリウム水溶液は1Lなので、水酸化ナトリウムが1mol必要になります。

 陰極での反応は以下の通り。

  2H2O + 2e → H2 + 2OH

よって、電子も1mol流れたことになります。あとは、ファラデーの法則から電気分解にかかる最短時間を求めます。

 

 

(3)浸透圧

 ここにきていきなりの浸透圧。浸透圧はファントホッフの法則で求められます。

ファントホッフの法則

 Π V c R T

浸透圧Π〔Pa〕、体積V〔L〕、濃度c〔mol/L〕、気体定数R、絶対温度T〔K

 

 注意すべきポイントは電解質を含む水溶液であること。

溶けているイオンの分だけ更に掛ける必要があります。

 

 

(4)発生した気体と水の反応

 陽極で発生した気体は塩素Cl2。水と反応して塩化水素HClと次亜塩素酸HClOを発生します。

 

 

 

〈押さえておきたいポイント〉

 

束一的性質

 浸透圧や沸点上昇、蒸気圧降下、凝固点降下は水溶液の溶質の種類によらず、粒子の数でその大きさが決まる。

 

 同じ濃度のデンプン水溶液、塩化ナトリウム水溶液、塩化カルシウム水溶液の場合、これらの値は塩化カルシウム水溶液が最も大きくなります。電離することで溶質の粒子の数が3倍になるからです。

 塩化カルシウムは今の季節、融雪剤として利用されます。雪(水)に溶けることで凝固点が大きく下がり、路面が凍るのを防いでいるのです。