こんにちは。
前回に引き続き、
北海道大学 第1問を解説します。
今回は第1問 Ⅰ 問2です。
内容は前回同様、電気分解、
中でも陽イオン交換膜法
になります。
目次
(1)指示薬の色の変化
水酸化ナトリウム水溶液に塩酸を加えていきます。この実験では塩基性→酸性に変化するので、
・メチルオレンジ
・BTB溶液
など様々な指示薬を使うことができます。色の変化は次の通りです。
・フェノールフタレイン:赤色→無色
・メチルオレンジ:黄色→赤色
・BTB溶液:青色→黄色
選択肢より、BTB溶液になります。
(2)中和滴定
0.100 mol/Lの塩酸10 mLを滴定するために必要な水酸化ナトリウムは
0.100 mol/L × 10 1000 L = 1.0×10-3 mol
これが、取り出す1mLの水溶液の中に含まれる水酸化ナトリウムになります。塩化ナトリウム水溶液は1Lなので、水酸化ナトリウムが1mol必要になります。
陰極での反応は以下の通り。
2H2O + 2e- → H2 + 2OH-
よって、電子も1mol流れたことになります。あとは、ファラデーの法則から電気分解にかかる最短時間を求めます。
(3)浸透圧
ここにきていきなりの浸透圧。浸透圧はファントホッフの法則で求められます。
注意すべきポイントは電解質を含む水溶液であること。
溶けているイオンの分だけ更に掛ける必要があります。
(4)発生した気体と水の反応
陽極で発生した気体は塩素Cl2。水と反応して塩化水素HClと次亜塩素酸HClOを発生します。
〈押さえておきたいポイント〉
浸透圧や沸点上昇、蒸気圧降下、凝固点降下は水溶液の溶質の種類によらず、粒子の数でその大きさが決まる。
同じ濃度のデンプン水溶液、塩化ナトリウム水溶液、塩化カルシウム水溶液の場合、これらの値は塩化カルシウム水溶液が最も大きくなります。電離することで溶質の粒子の数が3倍になるからです。
塩化カルシウムは今の季節、融雪剤として利用されます。雪(水)に溶けることで凝固点が大きく下がり、路面が凍るのを防いでいるのです。