【大学入試:化学】2024 北海道大学 第1問 part1

 

こんにちは。

今日から令和6年度大学入試(化学)を

解説していきます。

 

問題については

・各大学、予備校のホームページ

・書籍(赤本など)

から閲覧できるかと思いますので、

そちらを参考にしてください。

 

 

それでは、本日から

北海道大学

を取り上げます。

 

北海道大学は全3問。

それぞれ(Ⅰ・Ⅱ)と

問題文が設定されているので、

実質6題分といったところでしょうか。

 

早速、第1問のⅠから。

電気分解に関する問題です。

 

 目次

 

 

 

(1)空欄補充

〈前半〉

 純水を電気分解する場合、電解質を加えます。中学校の電気分解で、水に水酸化ナトリウムや硫酸を加えましたよね。

 

〈後半〉

 水酸化ナトリウム水溶液と硝酸銀水溶液を電気分解する際にそれぞれの陰極での反応の違いについて問われています。

 金属と水素のイオン化傾向の大小関係から金属が析出するのか、気体の水素が発生するのか問われたものでした。

 

 イオン化傾向は電池・電気分解で重要な知識です。教科書では化学基礎で登場します。高2生はしっかり復習しましょう。

 

イオン化傾向

 金属は陽イオンになりやすい。そのイオン化しやすいものから順に並べたものをイオン化列という。主なイオン化列は以下の通り。

 Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb> (H2) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au 

 リチウムLiが最も陽イオンになりやすい。

 

 

 

(2)電流の大きさを求める

 水酸化ナトリウム水溶液の電気分解では、陰極で水素H2が発生します。このとき、電極で起こる反応は以下の通りです。

   2H + 2e → H2

 水素の物質量〔mol〕から

流れる電子eの物質量〔mol〕を求めます。

 今回の水素は理想気体ではなく実在気体であるため、圧縮因子Zから理想気体の体積に換算し、状態方程式に当てはめていきます。

 

 水素の物質量を求めることができれば、

あとはファラデーの電気分解の法則に代入するだけです。実在気体に換算するところ以外は典型的な解き方になります。

 

ファラデーの電気分解の法則

 電気分解の間に流れた電流〔A〕、電気分解にかかった時間〔s〕とすると、この間に流れた電子の物質量〔mol〕は次のように表せる。

電子の物質量〔mol〕= 電流〔A〕×時間〔s〕 ファラデー定数〔C/mol〕

ここでファラデー定数とは、電子 1mol分の電気量を指し、9.65×104〔C/mol〕が与えられる。

 

 

 

(3)電気分解による電極の質量変化

 この問題も厄介な条件がありますが、典型問題と言えます。最終的には合金棒の質量変化を聞かれているので、とりあえず

 陰極の質量変化から流れた電子の物質量

を求めましょう。

 

 電子の物質量が分かったら、陽極の銀と銅がどれだけ変化したかを求めていきます。銀と銅の変化は次の通りです。

   Ag → Ag + e     

   Cu → Cu2+ + 2e

  そして、問題文に

「合金棒の銀と銅の原子数比は変化しない」

とあるので、銀と銅の物質量比が2:8となり、反応式から流れる電子の物質量比は2:16になります。

 あとは先ほど求めた電子の物質量から銀、銅から放出される電子の物質量を求め、反応した銀、銅の質量を求めます。

 

 

〈まとめ〉

 今回は北海道大学 第1問の問Ⅰの前半を解説しました。電気分解の問題は解き方のパターンが決まっています。

 

電気分解の典型パターン

 ①または②より、流れた電子の物質量〔mol〕を求める。

① 流れた電流・流した時間

② 発生した気体・析出した(溶けた)金属の物質量

 

とりあえず、

流れた電子の物質量〔mol〕を求める

ここを徹底しましょう。

何度も練習して身につけていきましょう。